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【結球するアブラナ科です】

蕪も小松菜も水菜も白菜も、みんなお互いに交配すると種ができるようなDNAが近いアブラナ科の野菜です。(キャベツやブロッコリーとは交配 しませんので、同じアブラナ科でも性質がやや異なります。) 同じアブラナ科ですから温度や日長や水分などに対しては同じような好みとか傾向 を示しますので、小松菜や青梗菜や菜っ葉類と同じような栽培方法でうまくいきます。なぜこのような言い方をするかと言えば、白菜は難しいと思い 込んでいらっしゃる方がとても多いからです。多分理由は、形が大きいために栽培日数がかかることと、結球させる必要があることの2点です(断言)。 でも実は、簡単な対策でOKなのです!「十分な株間を取って、できるだけ早く間引きして独り立ちさせること!」です。 小松菜などと違い葉数が多く、表面積も広く、毛も発達しています。どんどん水分を吸収し光がタップリあたればよいのです。 そのために40cm以上の株間を必要とし、養分や水分を独り占めにしなければならないのです。20cmと40cmはただ二倍ではなく、面積として四倍 になることに注意しましょう。必要エネルギーが小松菜などとは桁違いに違うのです! 種まきは普通、点まきで一箇所に4~5粒以上まきますが、(白菜は間引き菜でも美味しいので)ついもったいないという気持ちのため間引きが遅れ ることが原因で、結球するために必要な葉数に達することができないからです。低温とその後の長日により花芽ができると、もうそれ以上葉数が増え ないので、できるだけ速やかに葉の数を確保しなければならないのです。本葉三枚くらい、少なくとも3週間から1ヶ月以内には独り立ちにしてください。 「白菜は移植栽培が簡単!直播はダメ」という最近の風潮(どのハウツーサイトや大メーカの栽培マニュアルでさえ移植栽培を勧めているように) 移植栽培が盛んになっていますが、ポットによる育苗のほうが間引きが遅れるリスクが小さく、定植間隔を最初から一定にとれるので株間が狭い という事態を回避できるから・・・だと思われます。 しかし、ほんとうに、キャベツやレタスみたいに移植するほうが直播よりよいのでしょうか?次はその話です。

【白菜は移植が嫌い!】

白菜は移植するな、直に畑に蒔けと、私は先輩農家に教わりました。今でもそう確信しています。ぜひ、「根や葉の形と栽培方法」をお読みください。 水分の多い、または水もちの良い畑(A)と乾燥しやすい水はけの良い畑(B)があるとします。春、トマトとナスを作らなければならないとき、 Aにはナス、Bにはトマトを作らなければならないのです。もし、スイカとカボチャを作らなければならないなら、Aにカボチャ、Bにはスイカを作らなければ ならないのです。同様に秋、キャベツか白菜を作らなければならないならAには白菜をBにはキャベツを作らなければならないのです。 畑が選べるのであればこのような決めつけは一見乱暴に見えますが、実はとても理に適っているのです。たとえ畑が選べなくても、まったく同様な理由で、 「白菜は水分を確保しキャベツは水はけを最優先にする」など、栽培方法に優先順位をつけるやり方はとても合理的だといえるのです。 さて、移植したら最初にまっすぐ下に下りていくゴボウのような根(直根)が切れます。移植しなければ地中深く根を下ろし、地表が乾燥しても地下に 残った水分をくみ上げることができるし、(乾燥していたら吸えない)養分をその水分に溶かしこんで葉っぱに送り続けることができます。 もし、切れた直根から再生したしたひげ根が、直根を補うように働ければ問題は起きないのですが、(その再生力は品種により違いますが)かなり 弱いのです。また横方向には再生しても、縦には再生しにくいというのが実情です。私の経験からすると根の再生力は 再生力大(移植しやすい)の順番で、レタスやシュンギク>ブロッコリー>キャベツ>カリフラワー>青梗菜>白菜の順番だと思います。 白菜は、移植しても栽培できるはするが、できるだけ、直播したほうが良く、移植するのは春の白菜や秋の早生系のはやどり栽培や根の再生力が強く ひげ根が多い品種を使う場合に限ったほうが賢明す。移植から直播栽培に切り替えると、悩みの種だった「芯腐れ」障害がピタリと止まりました!

【トウ立ちのタイプはシードバーナリ】

作り方のポイントの「トウ立ち・・・」をお読みください。
●春まきは寒いときに播種しますので、必ず春専用の「晩抽系」品種を選びましょう。(品種により例外がありますが、一般的に、秋作の残り種は×)
●生育の早い品種ほど、早蒔きに適する品種が多いですが、生育の遅い品種に遅く蒔いていい品種は全然ありません!
つまり85とか95とか 品種に数値がついている場合が多く見うけられますが、このような晩生の品種は早く蒔かなければなりません。逆に60、65、(75)とかの数字が 着いている早生もしくは中早生系の品種は遅くまで蒔けることが多いです。つまり晩生の品種より早生系の品種のほうが一般的には種まきの 最適な蒔き巾が広いのです。最近は三寒四温と言った暖地型ではなく、乾季が長く続いて次に雨季も長く続くようにだんだんと熱帯性の気候に なってきているようですね!?最近の気象傾向に左右されないためにも、種まきの適期を逃さないためにも、蒔き巾が広いと言うことは武器になります。 品種選びに迷ったら、早生系を選んでおくのが無難かもしれませんね。
栽培マニュアルはこちらです。

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【結球するアブラナ科でグリンプラントバーナリ型】

キャベツはアオムシがつくから難しい!とか苗を作って植えるのが難しい!といのが家庭菜園初心者の第一声です。 でも、無農薬で作れるときもあるし苗を作るのも簡単というお話です。 白菜などシードバーナリタイプのアブラナ科野菜は種まき後低温にさらされるとトウが立ちますから、秋から冬にかけては特別な防寒(トンネルなど) をしなければ栽培できません。だから、暖かい時期に栽培期間の大半を当てないといけないので、アオムシ、コナガなどアブラナ科特有の害虫の被害 を避けるために苦労することになるのです。一方、グリンプラントバーナリー型のキャベツは一定の大きさ以下では、いくら低温にさらされても花芽が分化 しないので、真冬でも!栽培を続けることが出ます。そして、秋から早春までは虫がいません! この命題を三段論法で演繹すれば、 「(白菜は不可能でも)キャベツは秋に種まきしてトウ立ちしないように冬越しすれば無農薬で栽培できる!」という結論が導かれます。 これを行う品種を「秋蒔き極早生甘藍」と私たちは一般に呼んでいます。サワー系とか春系とか新キャベツともいいます。非常にジューシーで柔らかく 生食用に最適です。苗も真夏ではないので、キャベツの生育及び発芽適温の20度くらいで育苗できますので非常に簡単です。

【キャベツの品種選び】

上記の理由でキャベツは冬でも栽培を続けることができ、品種を選べば、どこでも、一年中栽培することだできるのが他の野菜と違いであり、最大の 特長です。この品種を選べばという十分条件を詳しく調べてみましょう。 ①早春から夏場にかけて蒔く品種。上昇気温の下で太っていかなければなりませんから、暑い時期でも平気で結球する、高温に強い品種が必要です。 ②夏に蒔いて冬に収穫する品種。暑さにも寒さにも強い品種が必要です。バーナリとは無関係の時期ですから、晩抽系である必要はありません。 ③夏~秋のブラックゾーンはどの品種でもキャベツは絶対に蒔いてはいけません!(現在例外が一つあり!) 夏遅く蒔くと、白菜と同じように結球葉数が不足して玉にならないか、尖がります。秋早く蒔くと結球せずにトウが立ってしまいます。 佐世保では9月上旬から9月彼岸までがブラックゾーンです。多分寒い地方ほど前進し、その巾も広くなるはずです。 ④秋まき品種。 お彼岸以降11月いっぱいまでです。冬は生育が停止しますので12月以降①の早春までは普通たねまきしません。 前項で述べた秋蒔き極早生系、約半月遅れて4~5月どり、さらに半月遅れて5~6月どりとなります。6月どり以降は①に戻ります。 この時期の品種はトウ立ちしにくい晩抽系であることが最優先です。また、低温でも肥大続ける性質が求められます。 いつでも蒔ける四季どり品種もあるのですが、あっちも中程度、こっちもソコソコという品種が多いので季節にあった品種をぜひ選びましょう。 さて、キャベツでは品質が大きく分けられます。炒め物やロールキャベツのように炊き込むもの、これはやや固めの寒玉系と呼ばれる品種が適しています。 一方、千切りキャベツなど生食用には先に述べた秋蒔き極早生系のような、ジューシーで柔らかい肉質が適しています。前者は料理すると甘みが増す 特長がありますが、生ではバリバリと硬い食感が強く向きません。逆に後者を痛めると、水分でべチャベチャとなりこれも適しません。、 品種選びでは上記の4つのタイプのどれを作りたいのか、どんな料理をしたいのかを十分検討しましょう。
栽培マニュアルはこちらです。

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【キャベツと同じ性質ですが】

「が」に注目してください。結球しないキャベツであるケール(青汁のもと!)から改良されました。カリフラワーも同類です。 起源が同じものから進化したので、キャベツ型のアブラナ科で花芽分化もグリンプラントバーナリ型です。したがって、寒いだけでは花芽はできず、 ある一定の大きさになって働くセンサーがONになって初めてトウがたつ・・・あれ?ブロッコリーのトウ??そうですブロッコリーは花芽を食べるわけ だから、トウを積極的に立てなければいけないのです。むしろ、如何にきれいなトウを立てるかを工夫しながら品種改良も進んでいます。 だから、キャベツと基本的には同じような畑の土壌条件を満たしつつ、花芽を大きく美しく育てる栽培方法をとれば大きな間違いは起きないのです。

【具体的なコツなど・・・】

●グリンプラント型はある大きさになり「ある低温」にさらされると花芽ができ以後トウがたちます。ブロッコリーはキャベツと異なってこの「ある低温」が かなり「高温!」なために、苗をあまり遅く植えると、体が花をつけるのに十分な大人になっていないにもかかわらず、不相応な花芽をつけなければ ならないので、小さなブロッコリーしか収穫できません。
●春は梅雨が控えており、生育期間が狭く制限されるので早生系の品種を用いなけれれば正常なブロッコリーが収穫できません。
●最近の品種は粒が濃緑で細かく、形もドーム型で大変美しいのがトレンドです。しかし、夏の早蒔きでは大きさは十分ですが「バーナリがかかるべき 低温」が夏の高温期にあたるので非常に不安定になり、ゴツゴツしたり、毛羽立ったりする汚いブロッコリーになってしまいます(生理障害)。
●わき芽が出やすい品種は家庭菜園向きで、わき芽が出にくい品種はプロ向きとされていますが、わき芽が全然出ないわけではありません。 また、積極的にわき芽とその茎をおいしく食べられる「スティックセニョール」という品種もあります。わき芽を採るタイプは株間を広めにした方が良く、 そうではない、早生系の品種などはやや密植して頂花蕾の数をたくさん収穫できるように工夫すれば良いと思います。
●カリフラーは先に述べたようにブロッコリーと同類で、白や薄緑の収穫物もただ微少な花蕾というだけでカリフラワーと全く同じで、栽培法も同じで良いです。 ただし、経験的にカリフラワーはブロッコリーより根が弱く、移植に弱く、苗の太りも緩慢です。苗を植えて収穫するまでの期間もかなり長いです。 また、ブロッコリーの緑は寒さによってややアントシアンが出るくらいですが、カリフラワーは白いところが寒痛みするので、芯葉の中骨を折って 内側にかぶせ込むようにするか、花蕾を包む葉をひもで軽くくくってやると良いでしょう(この辺教科書道理でスミマセン)。 これをブロッコリーでやった人がいまして(私のこと)、緑色が変に白っぽくなってとても汚いブロッコリーに変身させてしまったという結果に大笑い!(ハハハ)

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ミズナ、コマツナ、チンゲンサイ、タカナ、ナバナ、タアサイ、山東菜、べかな、広島菜・・・数え切れないほどあります。全部ひっくるめて非結球アブラナ科 といいます。基本的にはハクサイの所で述べたことが全くそのまま当てはまりますが、実際の栽培方では以下の点を注意すれば良いと思います。
●小型のハクサイと思えば良いので、生育期間はほぼハクサイの半分以下。したがってほぼ全部春から秋までずっと周年を通して栽培できます。 (梅雨は苦手で雨よけが、夏の暑さは寒冷紗など日よけが、それぞれ必要です。)秋はハクサイより一月ほど遅く蒔けます。被覆をしてさらに半月ほど遅くまで 蒔けるでしょう。
●根も白菜に似て移植に向きませんし、生育も早いので直播きします。蒔くときはスジ蒔きします。種子の大きさはハクサイと同じで土かぶせは丁寧に 5m/m以内とし軽く抑えておきます。ほぼ3~4日で発芽します。それ以上かかるときは以上です。また種子の休眠が起るときもあり得ますので、採れたて の新種より、数ヶ月した種の方が良く発芽します。チンゲンサイとコマツナ以外はほとんどが固定種です。F1ほどの高品質が必要とされてないのでしょう。 コマツナとチンゲンサイはF1を使うべきです。さび病抵抗性、濃緑性、立ち葉、硬くなりにくさ、そろいなど固定種より明らかに優れています。
●非結球アブラナ科野菜で被害を受ける病害虫は全く同じです。従ってハクサイと(レタスとの混植などのコンパニオンプランツなど)全く同じ対策が有効です。 農薬も同じものが原理的には有効なのですが、ポジティブリストが制定された後の農薬取締法の改正で、より限定された「非結球アブラナ科」に登録 がある農薬しか使えなくなったのです。注意が必要です。
栽培マニュアルはこちらです。

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結球レタスはもちろん、サニーレタス、グリーンリーフレタス、サラダ菜、チマサンチュなどの萵苣(ちしゃ)類を全て含みます。 これらのレタス類の種の形は一様に非常に小さく、針のように尖っています。セル育苗などに種まきしやすいようにコート種子が普及したのはこのレタスの 種の小ささと蒔きにくさに因るものです。レタスはF1の品種がありません。効率的に雑種を作る方法がないからです。従って全部固定種です。 これは業界の裏話ですが、レタスは主にアメリカで改良されてきました。(ほとんどがその導入種です。逆にアブラナ科野菜のキャベツやブロッコリーなど、 日本製の品種は優れており、タキイ、サカタなど日本の主要な種苗会社は盛んに輸出しているそうです。)最近の品種を除き、比較的価格も安いです。 安価に苗を大量に作るときは種まきや移植はしにくいですが生の種が良く、逆にやや高いですが、効率と蒔きやすさはコート種子が上だと思います。、 コートしてあると分かりませんが(レタスの種子は形では区別できませんが)、色が全く違う白種と黒種の二種類あります。混ざることは決してありません。 黒が性質が強く、白が美味しいと聞いたことがありますが、その根拠は私には今のところ分かりません。

レタスはホウレンソウと並んで主要な葉菜類のなかでは異端児です。なぜ異端児なのか、それは葉菜でありながらアブラナ科ではない!からです。 だから、アブラナ科とどこがどんなにちがっているかという立場からレタスを考えると、とても興味深いのではないかと思います。
●アブラナ科ではなくキク科であること。同類はシュンギク、ゴボウがあります。トウを立て花を咲かせるとみな菊によく似た花が咲きます! 連作障害の項で述べたとおり、同種でなく同属の野菜で発生します。よって、先にあげたキク科野菜はぜんぜん似ていませんが自身のみならず互いに 連作障害が発生します。キンカク病や腐敗病などです。キンカク病の病原たる菌核は土中で7年も生き長らえることができる!と聞いたことがあります。 できるだけ、連作しないようにしましょう。
●アブラナ科ではないので、アオムシやコナガがつきません。コンパニオンプランツ(混ぜて植える!)を参照してください。
●高温が苦手で、低温が好きと覚えておきましょう!発芽や生育適温は20℃以下です。25℃以上では結球せしませんし花芽分化しトウが立ちます。 とくに、低温ではなく、高温で花芽が分化しますので、アブラナ科と全く逆です。一方、低温は普通のアブラナ科葉菜並みに5℃以上であれば生育可能です。 秋まきの場合、佐世保では結球レタスで9月~11月頃まで随時播種可能です。非結球レタスなら9月~早春までいつでも播種可能です。アブラナ科では こうはいきません。トンネルなどで平均気温を上げると可能かもしれませんが、11月~2月は非結球のアブラナ科の菜類はトウ立ちしやすく、生育が遅いので 全く適しません。レタスは全くトウがたちません(花芽が分化してもトウ立ちが抑制される)ので凍傷を防ぐ程度の防寒があれば厳寒期で成長を続けられます。
●種まき(育苗)のコツがアブラナ科と全く異なります。まず、前項により①涼しくなければなりません。だから、家庭菜園ではベビーリーフ栽培を除き 夏場に種まきするのは避けた方が賢明です。②ダイコンなどは光が当たると芽が出にくいですが、レタスは全く逆に光が当たった方がよく芽が出ます。 つまり、土かぶせはしない方が良いのです。③土かぶせはしないので、乾燥を防止するために不織布などで被覆し、水もその上から潅水すると表土を 硬くせず、種子も叩きませんので発芽が良くなります。(上手な芽の出し方を参照してください)
●苗は非常に柔らかいので夕方には潅水しないように。しかし、非常に細根が発達しており、(ポットやセル育苗しなくても)少々乱暴に抜き取っても 良く苗は活着します。植え付けは大変楽です。
●ナメクジの被害が深刻です。結球しかけた頃、重点的にメタアルデヒド系の薬を周辺にまいて、薬をなめさせて殺す誘殺法が有効です。 ナメクジの好きな物陰、敷きワラ、雑草、草やレタスの残滓などはできるだけ取り除いておきましょう。
栽培マニュアルはこちらです。

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ホウレンソウは孤高の品種です。アカザ科でビート、フダンソウが同類ですが、ホウレンソウの方が知名度、栽培量など圧倒的で、他は超マイナーです。 多分ポパイ(若い人は??)の影響だと思いますが、レタスと同じくアブラナ科との比較で考えると栽培法の特徴がよく見えてきます。 雑談ですが、ホウレンソウは菠薐草が正確なのですが、業界では法連草と当て字が主流になっています。 さて、ホウレンソウはやせたところが大嫌いで肥えた畑でしかできない! ホウレンソウを語るときは必ず最初に申し上げるようにしています。 実際「コマツナは易しいけど、ホウレンソウは自分の畑ではできない」とおっしゃる方が多いのに驚きます。 どうしたのですか?と聞くと 第一に「芽が出ない」。第二に「芽は出るけど途中で黄色くなって消えてします!」とのこと。

●《高温乾燥で芽が出にくい》

ホウレンソウは硬い種皮に覆われています。特に昔の東洋系はトゲもありかなり水分が無いと発芽しにくいです。  だから、①水分が十分であることが、まず、必要条件です。次にホウレンソウはレタスなどと同じで氷温くらいまで低温に耐えるのですが20℃以上になると 発芽も生育も悪くなりますので、②涼しいことが必要です。教科書には水に漬けて蒔く方法がよく書いてありますが失敗が多いのでおススメしません。 冷たい流水につけないと、種子から出るアクは発芽を抑制します。浸漬が長くなると酸素が不足します。そして、最近の品種はブラッシングといって 種皮に傷をつけたり、プライマックスなど薬品処理にて発芽しやすい対策が採られているので、余程の事情が無い限り浸漬処理は必要ありません。 8月下旬に蒔いてもなかなか発芽しないホウレンソウも、十月のある雨の後に蒔いたホウレンソウが雑草みたいに発芽します! 「ホウレンソウは肌寒くなってから雨の後に蒔く!」でよく、コマツナや水菜は「暖かい(暑いは×)ときに蒔く」と覚えておいてください。

●《肥えた畑が好き》

ホウレンソウ作るときは石灰をタップリ!と、意外ですが皆様よくご存知です。ホウレンソウの最適PHは7.3~8.2です。 ほとんどのメジャーな野菜がたとえ酸性が嫌いでも弱酸性領域が最適なのに比べ、はっきりとアルカリ領域のほうが生育は良いのです。! 日本は雨が多く、炭酸ガスの浸透により、しばらく何もしないと自然に酸性になりますので、ホウレンソウを作るときは毎作ごとに石灰が必要です。 しかし、問題はこれからです。石灰をやったけど・・・次第に黄色くなる。これは「最初に投入した石灰が時間とともに急速に失われている」ことを 意味しているのです。ちなみに、石灰=カルシウム以外にカリとか(アンモニア態の)窒素なども、同じ畑では大量に施肥したとしても効きが悪いと 推測されます。これを「やせている」といいます。皮肉ではありません。これらの肥料分はすべてプラスイオンです。マイナスイオンにくっついていないと 降水量の多い日本ではすぐ流出してしまうのです。CECといいますが、普通の土の粒子と、腐植と呼ばれる有機物はそのマイナスの電荷の量が 三桁以上違うのです。もちろん有機物の値が超大きいのです。したがって単に石灰を入れるだけでなく、完熟堆肥などをタップリやって畑のCEC値 を高めておくことが必要になるのです。「ホウレンソウ作るときは石灰だけでなく堆肥もお忘れなく!」と覚えておきましょう。

●《トウ立ち》

ホウレンソウは一般的には春の彼岸から秋の彼岸までは非常に苦手なのです。 専門的に言うと、花芽は長日、短日にかかわらず分化するのですが、その後のトウ立ちが短日ではしにくく、長日条件でしやすくなるのです。 トウ立ちのタイプが普通の菜っ葉と全く違います。ホウレンソウは温度よりも光センサーが重要な働きをします(菜っ葉=アブラナ科は低温センサーでした)。 光の強さ弱さではなく、昼の長さ(ホントは夜の短さ)即ち日長が原因です。春彼岸から秋彼岸までは、ホウレンソウにとってはアブラナ科の真冬と同じです。 アブラナ科は(シードバーナリーとプラントバーナリーに応じて)できるだけ冬を感じないように、種蒔き時期を工夫し苗の大きさを気にしながら育苗しなければ ならないのでした。反対にホウレンソウは日の長い夏場が大変苦手です。必ずトウがたちます。緯度が低いところで進化した東洋系の品種(種子にトゲあり) は、高緯度のヨーロッパ系などより日長を敏感に感じますからすぐにトウがたちます。(北欧では白夜など、夜が長いのに慣れているのです。) 北欧系の品種も日長を鈍感に感じるだけでやがてトウが立ちますので、夏場の栽培でも素早く太らせないとトウ立ちさせて失敗します。 先に日長といいましたが実は夜の短さが影響するので、夜明るい所、たとえば街灯の下、夜間設備のあるグランドの周辺、受験生のいる窓辺に近い畑、 ・・・などでは秋冬栽培でもすぐトウが立ってしまいます。ホウレンソウは夜明るいところでは作ってはいけません! 発芽のところでも述べましたが、ホウレンソウは0℃でも耐えます。逆に20℃以上になるとレタスと同じように生育が悪くなります。 トウ立ちと生育温度から「ホウレンソウは夏が苦手で、冬が好き!寒いのが好き!暗いのが好き!」と覚えておきましょう。

●《無農薬栽培が簡単!》

アブラナ科に被害を与える虫は、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、バッタ、キスジノミハムシ、シンクイムシ(ハダラメイガ)、など・・・ 思いつくだけでも数え切れないほどです。一方、(私の経験が浅いせいか断言はできませんが)上記の虫たちは、ホウレンソウではまず問題となることは、 まずありません。ホウレンソウは、寒い季節が主要な生育時期であることを考えても、もっとも虫がつきにくい野菜であると思います。
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大学が東京なので、上京して初めてそばを食べときビックリ仰天!だし汁が真っ黒。葱は白い部分だけ、しかも硬くて太い!九州は関西風で出しは薄口、 小葱または分葱のきざみ葱(青色)。その他同じ九州でも福岡は中葉しんぎく、長崎県は大葉しんぎく。同じ長崎県でも県北は20~25cmの太長ナス、 県南は30cm以上の細大長ナス。地方によって大きく趣向が異なる野菜ですが、葱も関西と関東ではまったく異なります。
○関東では青い部分は捨て、白いところだけを食べます。関西人だと固くて食べられないと言うでしょう。如何に白くツヤがあり白い部分が太くまっすぐで、 硬くしまっていることが要求されます。青いところはどうでもよいのです。土層が深く、深部まで水はけの良い、関東平野のような土壌を好みます。
○関西では青い部分も白い部分も重要です。太さは重要ではなく、柔らかさ、香りの強さ、甘さなどが要求されます。九条葱がその代表でです。 大きな違いが株元にあります。関東系は丸くて太くて直線的なことが要求されるので絶対に分けつ(分かれて離れること)してはいけません。 しかし、九条葱は株元で分けつします。分けつしそうになると株元がラッキョウのように膨らみます。このふくらみが嫌いな人も多くいます。 根は残根性で、乾燥には強いが湿害を受けやすいです。関西系・関東系という二大系統の話でしたが、次はその共通項と相違点の話です。

●《栽培期間が長い》

栽培方法から、①10月~11月に種まきして、翌年7~10月に収穫する。②2月~4月蒔いて、10月~3月に収穫する。 いずれにしろ、ほぼ1年を要します。葱はトウ立ちのタイプはグリンプラントバーナリ型。キャベツと同じです。②の栽培方法では問題ありませんが、 ①の作型では早く蒔きすぎると必ずトウ立ちします。同じ玉葱が9月下旬頃蒔かないとトウ立ちすること。玉葱より葱が生育が早く旺盛であることを 考えると、秋蒔きの葱は玉葱より必ず遅く、10月中旬以降に蒔かないといけないことは自然に理解できますね。佐世保では11月だとトウ立ちしない。 10月だと暖冬だとトウ立ちするとよく先輩農家から教えられました。

●《梅雨が苦手》

「カラ梅雨だと葱が安くなる。梅雨が長く降水量が多いと葱は高騰する。」 先輩農家から教えられましたが。よく当たります。 また、「葱は引き抜いてコンクリートの上に1週間放置しても植え込めば生き上がる。でも、雑巾バケツに丸一日浸けていたら植えても根腐れして死んで しまう。」これも真実です。つまり、葱は乾燥に非常に強く、過湿に非常に弱いのです。畑を選ぶときは地下水位が低いこと、水はけが良いことなど根に 酸素が供給し続けらるようにすればうまくいきます。

●《分けつ》

関東系の葱の①の作型ではトウ立ちさせれば即失敗です。でも九条葱はトウ立ちしても、花茎を切り落とせば株元から分かれた分身に エネルギーが重点的に分配されるようになり、正常に生育させることが可能です。ラッキョウのように根が膨れるのは葱としての格好は悪いですが、 収穫物が0となる危険性は回避できるので悪いことばかりではありません。

●《小葱栽培》

福岡の万能葱が有名です。薬味としての葱を周年必要とする需要を満たすため、若どり栽培が盛んになっています。 分葱など栄養繁殖させる葱や今までに述べた深葱では需要を満たせないこと、関西風の細かい刻み葱が全国的に広まったこと、などにより 最近は特にポピュラーになりました。2ヶ月くらいで生育し、グリンプラントバーナリー型なのでトウ立ちが問題となることは無いので、関東系でも、 九条系でもどちらも用いられます。細く腰が強い葱がよいときは関東系を、風味がよいのは関西系です。ニラも同じですが、夏に休眠する系統、 冬に休眠する系統などがありますので、周年栽培といっても季節により最適な品種は異なります。
栽培マニュアルはこちらです。

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《シュンギク》

○特性 キク科で、レタス・ゴボウと同類です。トウ立ちは長日タイプですが、株どりだけでなく、摘み取りもできますのであまり問題とならないでしょう。
○品種 葉の切れ込みの程度で、小葉、中葉、大葉、おたふくに分かれます。左ほど、香りが強く、寒さにも強く、摘み取りのときの再生力も大 右ほど、葉質柔らかく、サラダにできるような淡白な味(私の好み)。地域によりまったく好みが分かれます。佐世保では昔は大葉、おたふく以外 栽培されていませんでしたが、広域スーパーの仕入の多様化などで、中葉の需要も高まっています。逆もあり得るでしょう。
○発芽 法定発芽率も低く、実際の発芽率も60~70%でかなり低いです。また、好光性で種子もカサカサしてますので、スジ上に種がくっつく 程度に多めに蒔き、土かぶせはせず、ギュッと足で踏んづけておきましょう。

《セロリ、パセリ》

○トウ立ち ミツバなども同じ。アブラナ科より長く、葱など同じく足かけ一年の栽培期間となります。同類の人参と同じくトウ立ちはグリンプラント型。 冬越しするときの大きさによってトウ立ちが支配されます。佐世保ではパセリは1月~2月、セロリは4月~5月に分岐点があり、それ以前に蒔くと その年にトウ立ちしてものになりません。それ以後になると翌年まで花が咲かずに栽培が続きます。
○発芽 セリ科特有の特徴を有し人参とまったく同じ性質です。好光性でかなり長時間を以上要します。つまりアブラナ科のように簡単にはいきません。 土面をできるだけ平面にし、やや多めに均一に種まきし、土はかけずよく押さえます(ここがポイント!)。土かぶせはしませんので、不織布などで 被覆し乾燥を防止し、その上から潅水し、土面が硬くならないようにします。セロリは特に微細な種なので、時間をかけて丁寧にばら撒きします。
○栽培 セロリは細かい根が発達した残根型。根の形により、移植は超カンタンですが乾燥には弱く石灰欠乏症などの整理障害が出やすいので 注意しましょう。パセリは逆に人参のような直根型。大きくなっての移植は植え痛みが激しいので幼苗の時しか移植できません。普通は直播か、 ポットに直播>間引き>移植とします。

《しそ・シソ科のハーブ》

○発芽 微細なな値が多く、ほとんどが好光性です。土はかけません。押さえておきます。セロリと同じように不織布などをかけて乾燥しないように。 水やりはその上から丁寧に行ないます。
○トウ立ち 珍しい短日タイプです。秋、日長が短くなると花が咲きます。春蒔き専用で秋には蒔けません。
○シソの香りは、「ストレスがないと濃厚になりません」。生育後半にあまり水分や肥料が多すぎる香が淡くなります。私見ですが「化学肥料の方が 有機肥料より香が強い」と思います。そうであれば「色、味、香りはストレスにより濃厚になる!」という法則が真ならば「有機肥料が化学肥料より ストレスを与える程度が小さい」という結論を導けるのですが、実験をしたわけではありませんので仮説として述べておきます。

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