カボチャの芽が出ません!なぜですか?

>3/27日に紅爵を芽だし箱に播種しました。
>小袋の種をすべて播種しましたが2個しか発芽しません。
※小袋は約10粒入っていますので、20%の発芽率になります。
> 同時に播種したかぼちゃ(雪化粧)はほとんど発芽がしています。
> 今しばらく様子を見ますが、何か注意することがありますか。
> 宜しくお願いします
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K.T.様よりのメールより加筆して引用させていただきました。
当店からお買上げの紅爵という品種の発芽の件で広島県のK.T.様からご質問を受けました。よくあるFAQの一例でもありますので、とりあげさせていただきました

数日前は、北日本では雪が降っておりました・・・今年は不意に寒くなり、不意に温かくなります・・・とても不安定な気候が続いているようです。

 

さて、
◆結論から申し上げますと、地温が低いのが原因です。 また、
◆雪化粧(サカタの白南瓜)の発芽が良く、紅爵が20%であるのは発芽に必要な要求積算温度が異なるからです。

 

多分、外気温と連動する無加温の箱で蒔かれたと思います。地中計をいれて最低温度を観測いただけると一発で分かるのですが、一時的に10℃、あるいはそれ以下に下がった時期があったのではないかと想像いたします。適湿下で、播種後4日以上かかって発芽する場合は低温の影響を受けているのは間違いありませんのでぜひ覚えておいて下さい。さらに、この場合の温度は「気温」ではなく、「地温」であることに特にご留意下さい。

 

私の持論ですが、露地栽培の南瓜の播種期は、無加温の場合、4月に桜の花が完全に終わってから!ずるいようですが、周囲の人々が種まきをして芽が出るのを待ってから!種まきをして下さい。と申し上げております。
春、半月程度遅れても夏に向けて温度は上昇するだけですから、夏、数日でその遅れは取り返せます。発芽不良や成長点異常のハンディーを背負うくらいなら、温度が十分上がってから種まきをすべきだと考えます。
※積算温度の三角形の形は春と秋とでは全く逆なので「春は人より遅く、秋は人より一日でも早く」と繰り返しこのブログに書かせていただいております。

 

さて、南瓜は温床育苗をすると、地温30℃で約3日で完全に発芽いたします。
30度×3日×24時間=2160度時です。
15度×6日×24時間=2160でもありますので、
この場合、平均地温15℃なら6日になりますが、吸水を初めて双葉を展開するために力を温存できるのは6~7日、つまり一週間くらいが限界なので、15℃以下に下がるような事態になれば種が死んでしまいます。
(ちなみに低温で死んだ種は指でつぶすと牛乳の固まったような、豆腐のような状態になっています)

 

要求積算温度が、雪化粧の場合2000で、紅爵が2200である場合、前者は6日で発芽しますが、後者は6日で発芽できません。そして7日以上かかることになり死んでしまう種が出てきてしまい発芽率が下がります。 (2000と2200でたった一割しか違いませんが結果は極端に違ってきます。 品種の早晩、栽培適地の相違、そして採種条件により、一割の変動は容易に起こり得るので今回の様な事例も希ではなく普通に起こり得ることをご理解いただけたら幸です。)

これが、今回、片方が極端に発芽できなかった理由です。春蒔きの時期にこのようなご質問を度々受けるのですが、夏蒔の抑制栽培の時には全くありません。夏場に低温が問題になることは全然ないからです。

 

種屋をしておりますと、全く同じようなご質問をしばしば受けます。 品種によって要求積算温度が全く同じ事の方が珍しいはずです。だから同じような事例に毎年何度も遭遇するのではなかろうかと想像いたしますので、やや詳しく書かせていただきました。
早朝、日の出前が温度が最低になります。地温も最低になります。発芽させる培土に直接温度計を差し込んで、15℃以下に低下しているなら種まきを控えて下さい。20度以上確保できる状態になったら、南瓜以外のどんなウリ科の種も法定発芽率以上の確率で発芽するのは間違いありません

できるだけ遅く、地温が上昇してから蒔くことが可能なら、確実に発芽いたします。
ビニール被覆をしても保温するだけなので、加温して温度を上げる効果はありません。
今年のように急に温度が下がるような気候が続くときは例年以上に低温に注意しなければならないのではないかと考えます。

 

長くなりましたが、皆様のご参考になればと思い引用させていただきました。
K.T.様ありがとうございました。
a!大事なことを書き忘れました。 付け加えます。

 

中生系のスィートコーン(いわゆるシワシワした種子)、オクラ、苦瓜、冬瓜、ナタ豆、これらも、「芽が出ない!」といわれる野菜です。加熱温床ではない、露地栽培においては佐世保など暖地においてさえ、4月下旬、藤の花が満開になる頃を過ぎてからでないと発芽不良、発芽勢不良を引き起こします。これからも不時の低温には十分お気をつけ下さいませ。